今年の春、多摩美術大学の情報デザインを創設した恩師が退官する。
めでたくもあり、さびしくもあり。
2006年に修士課程を卒業してからいろいろ考えたり、実践してみたり。
それらをこの機会にアンカーを打ってみる。
いまや多くの大学に情報デザイン学科が作られているが、その恩師が「情報デザイン」という学問を創設したきっかけという物にも記憶を頼りにアンカーを打ちたい
それはその恩師がまだデザイン事務所に勤めていて、コピー機のデザインをしていたときのこと。
スイッチ周りとか、筐体とかそれにまつわるデザインだ。
そしてコピーをとっていたその時、「なぜコピーを取り終わったと解るんだろう」と言うことに気づいた
つまり、箱だとかスイッチだとか使いやすさだとか審美性だとか、そういった物は多くのデザイナーがデザインするのだけれど、気づくとか分かるとかのデザインをするデザイナーはいないんじゃないかと。
それで恩師は退職し、アメリカへ渡り学び直し、帰国後多摩美大にて「情報デザイン学科」を創設した。
それ故、多くの人が概念として持つ情報デザインとは違う。
ーーー多くの人が概念として持つ情報デザインとは、インフォメーションテクノロジー(IT)の分野における表現や伝達方法を考案すること。
僕自身、修士課程に入り直したのも「概念:情報デザイン」の世界に浸かっていて、これの次のデザインを探さないといけないと感じていたから。
実のところ、卒業時はそれほど「これだ!」という感じもなく卒業してしまったのが本当のところ。
しかし、現在「これだったんだ」と言うことはわかる。
なぜならこれこそが人生であり、意図しないうちにデザインしていて、幸せや不幸を感じているからだ。
では、次回以降これに触れていこう。